自然の中で、自由な時間を過ごせる事がキャンプの醍醐味です。
自由に過ごせるからと言って、何をしても許される訳ではありません。
当然ですが、キャンプにもルール・マナーがあります。
キャンプブームに伴って、マナーの悪いキャンパーも目立つようになってきました。
これ以上マナーの悪いキャンパーが増えないよう、この記事を通して、キャンプ独自のルール・マナー・暗黙の了解を確認し、利用者全体のマナー向上に繋いでもらえればと願います。
最優先はキャンプ場の利用規約
今からキャンプのルールやマナーを紹介する訳ですが、前提として利用するキャンプ場の利用規約が最優先です。
この記事でNGとして書かれている事も、キャンプ場がOKなら問題ありませんし、逆もまた然りです。
利用規約の確認は主に以下の場所でできます。
- キャンプ場ホームページ
- キャンプ場内の掲示板
- 利用時の受付け
「ホームページで確認した」「以前に利用した事がある」という場合も、受付けの際に説明がある場合は再確認も兼ねてきちんと聞きましょう。
利用規約が変わっている可能性もあり得ます。
家族やグループの場合は代表者が受け付けをする事が大半ですが、説明を受けた方は一緒にキャンプをする人にも必ず伝えて、全員がルールを守れる様、周知しましょう。
あまり規約に書かれていない事
他の利用者のサイトへ立ち入らない・横断しない
題目の通りですが、他のキャンパーが利用している区画(周辺)へ無闇に立ち入らない様にしましょう。
「誰も居ないし、近道だから」という理由でも、当然ダメです。
設営に使われているロープや刃物(オノ、ナイフ、包丁など)、更には火も扱っているので、どこに危険が潜んでいるか分かりません。
ゴミの処分・分別方法を守る
無料キャンプ場は全てのゴミを必ず持ち帰り。
有料キャンプ場では説明が無ければ全てのゴミを持ち帰るという認識で居ましょう。
有料キャンプ場ではキャンプ場によって処分方法は異なるので、よくあるケースを紹介します。
- 分別すれば無料で処分可能
- 別料金で処分可能
- 持ち帰り必須
更に、有料キャンプ場でゴミを廃棄する場合、キャンプ場によって「ビンとビンの蓋を分ける」「ガスボンベは穴を開ける」など細かくルールが違う事も多いので、分からなければ管理人に確認しましょう。
灰は灰捨て場か燃えるゴミへ
焚き火やバーベキューによって出てくる灰と炭。
自然に還る、還らないの議論はありますが、それ以前に灰も炭もゴミであり、灰捨て場か燃えるゴミとして処理するのが基本です。
捨て方の注意点としては燃えるゴミで処理をする場合も、灰捨て場に処理をする場合も、完全に消化してから処理をする必要があります。
燃えるゴミとして処理をする場合は、簡単に想像できると思いますが、可燃物に引火する場合があります。
家庭の燃えるゴミで処理をする場合も、自治会によってルールや廃棄方法が異なる場合があるので、きちんと確認が必要です。
例えば山口市では飛散防止のために水に浸け、灰と分かるよう燃えるゴミと分別してからゴミとして出すように決まっています。
灰捨て場で灰の処理をする場合もきちんと消火してから廃棄しましょう。
理由としては灰捨て場には火消し壺を使い、消し炭となった燃え残りもあるからです。
消し炭は簡単に火が点くので、火の残った薪を入れると引火して火災につながる恐れがあります。
消し炭を灰捨て場に捨てるのは問題ありません。
共有スペースを独占しない
キャンプ場には共有スペースとして、炊事場、トイレ、東屋といった建屋があります。
共有スペースは、利用者全員の場所なので、長時間に渡り利用するのは控えましょう。
「どの様な行為が、独占行為に当たるのか分からない」という人の為に、例を挙げます。
- 飲み物を冷やすために、炊事場の水を出したままにする
- 炊事場で洗い物を漬け置きしてその場を離れる
- 日差しや雨を遮る為、東屋の下へ設営する
初心者の方でも共有スペースの使い方は意識さえすれば、「知らず知らずの内に独占行為していた」という事態にはなりません。
譲り合いの精神を持ち、気持ちよく利用出来る様、心掛けましょう。
シンクは排水口の残飯まで掃除する
共有スペースの使い方について、もう1点意識してもらいたい項目があります。
それは共有スペースを利用した後は、その都度片付けを行う必要があるという事です。
片付ける意識があっても、調理・片付けをした後のシンクや排水口の掃除はつい忘れがちです。
野菜クズや食べカスがシンクに残ったままになってしまうと、次に利用する人は気持ちよく利用する事が出来ません。
利用後は、ゴミや忘れ物が無いか確認してから離れる事を徹底しましょう。
消灯時間が決まっていなくても22時以降は静かにする
キャンプ場で消灯時間を決めている場所も多いですが、消灯時間が決まっていなくても22時〜7時頃までは、「サイレントタイム」として音を極力出さない・話し声も控えるのが、暗黙の了解となっています。
また、就寝時間でもあるので、過度に明るい照明や車のヘッドライトも切るようにしましょう。
無料のキャンプ場も同様に22時以降はサイレントタイムを徹底しましょう。
意外と聞こえる音楽や車のドアの開閉音
音に関して気を付ける項目はまだまだあります。
ラジオや音楽を流して、キャンプを楽しむ方も居ますが、音量は大丈夫でしょうか?
キャンプ場は部屋や車の中と違って、想像よりも遠くまで音が届きます。
スピーカーや楽器禁止のキャンプ場もあるので、持ち込む前には必ず利用規約等の確認をしておきましょう。
更に、気付きにくい点として、車のドアの開け閉めにも注意が必要です。
夜中に到着して設営する方や、車中泊の方で何度も車のドアを開け閉めする方が居ます。
静かな夜はドアの開閉音も響き、他のキャンパーに迷惑となるので、極力開け閉めの回数を減らすようにしましょう。
他人に迷惑をかけない
昨今のキャンプブームにより、ソロキャンプでも「キャンプ場に自分一人だけ」という状況はなかなかありません。
そうなると出てくるのがキャンパー同士のトラブルです。
トラブルにならないポイントを一つ紹介すると、設営時に近くのキャンパーにきちんと挨拶をしておきましょう。
一言の挨拶だけで、お互いに思いやりの気持ちが生まれます。
ただ一人や家族の時間を楽しみたいキャンパーも多いので、絡みすぎには要注意です。
お酒の飲み過ぎは大きな声に留まらず
気心の知れた間柄での、グループキャンプはとても楽しい時間です。
知らず知らずの内に、ついテンションが上がってしまい、言動が大きくなってしまいます。
気持ちは分かりますが、キャンプ場は宴会場でも居酒屋でも無いことを理解して下さい。
お酒というと、大きくなりがちな声も問題ですが、判断能力や行動力の低下もデメリットの一つです。
夜に天気が荒れても対応ができず、テントが浸水して荷物が濡れる、ペグが飛んで他人のテントに傷をつけるなど、判断ミスによって大きなトラブルに発展する事もあります。
夜間のトラブルにも判断、対応できるくらいの余力は持っておきましょう。
絶対に子供から目を離さない
「自然に触れ合って欲しい」「普段はできない体験をして欲しい」という思いで、家族でキャンプをする事は、実際に子供がいる筆者も頭が下がります。
ですが、小さなお子さんを連れてのキャンプは、設営、調理など手が離せないタイミングが多々あり、大人だけのキャンプの何倍も何十倍も危険です。
そんな中、「複数の子供で遊んでいるから、少々遠くへ行っても心配は無い」という親御さんを沢山見掛けます。
他の利用者から見ていると、子供から目を離すのはとても危険な行為です。
特にフリーサイトは区画が決まっていないので、ロープが視界に入っていても見えてない事による転倒や、車の乗り入れが可能な場合はテントやタープが視界を遮っている事が多く、それによる車との接触事故も多いです。
キャンプ場のルールの一つ、「他人の区画に入らない」という事はお子さんにもきちんと伝えてください。
お子さんを連れてのキャンプは自身の目の届く範囲で、楽しい思い出を作って帰ってください。
写真撮影・動画撮影時は映り込みに注意
SNSや動画配信サービスの普及により、キャンプ中に写真や動画を撮影している人も増えました。
自身のInstagramやYouTubeへ写真・動画をアップする前に確認する事があります。
写真や動画の中に他の利用者は、写り込んでいないでしょうか?
人物の写り込みはデリケートな問題であり、法に触れなければ何をしても良いわけではありません。
撮影者が被写体として捉えていなくても、映り込むのが嫌な人もいるという事はカメラを構える以上、きちんと頭に入れておきましょう。
キャンプもカメラも大切なのは相手を思う気持ちです。
ドローンはギアや人を傷つける事を理解しておく
最近ではドローンを使った撮影をする人もいますが、ドローンが飛んできて見えない人に撮影をされているのは盗撮をされているようで嫌悪感を抱く人も多いです。
また撮影者としては風景を撮るために上昇したつもりでも、第三者から見ると撮影に勘づかれて逃げたようにも見えてしまうものです。
またドローンを飛ばすなら航空法などの法律は知っていると思いますが、航空法以外にもテントや車、人に落ちた場合の責任など、キャンプ場ならではのリスクもあります。
トラブルを回避するために、名刺やポートフォリオを持っておくのも一つの手段です。
自然を大切にする
キャンプとは自然と共存するもの。自然を傷つける事があってはいけません。
自然のエネルギーは壮大なものですが、小さなダメージでもしばらく元に戻らない事も多くあります。
例えばどんな事をやってはいけないか紹介します。
植樹されている木を切らない
キャンプ場にある木を切り倒している人が、SNSにて頻繫に取り沙汰されます。
解説するのも難しいのですが、キャンプ場の木は切ってはいけません。
キャンプ場の木を切る人は「ホテルのアメニティを使っている」くらいの認識なのでしょうか?
完全に認識ミスであり、「ホテルに飾っている絵画や観葉植物を勝手に持ち出している」ようなものです。
キャンプ場で使って良いのは落ちた枯葉や枯れ枝です。
木を切るのは簡単で難しい
木というのは切るだけなら簡単ですが、切り口から雑菌が繁殖し、木そのものが駄目になってしまう事もあります。
駄目になった木は切り倒す必要があり、その費用を負担するのは管理する市町村やキャンプ場です。
そして新しく木を植えても同じ大きさに育つまでは長い時間が必要です。
木を使ってハンモックやタープの設営を楽しむキャンパーも多くいます。
一人の都合で多くのキャンパーの楽しみを奪ってはいけません。
基本的に直火は禁止
「キャンプと言えば焚き火!」という思いに駆られる方も少なくない事でしょう。
ですが、焚き火にも重要なルールがあります。
それはほとんどのキャンプ場が直火は禁止という事です。
何も書かれていない場合も直火での焚き火をしてはいけません。
直火での焚き火は、地面へのダメージや後処理の問題などから、禁止しているキャンプ場がほぼ全てです。
ちなみに山口県内に直火が可能なキャンプ場はありません。
川や海での洗い物をしない
家庭用洗剤を人が飲めないように、水生生物にとっても洗剤は有害です。
特に川は海に比べて水の量が少なく、汚水が薄まりにくいため、環境を汚す可能性が大きいです。
(もちろん海なら汚水を放流しても良い理由にはなりませんが)
川で釣った魚を調理して食べるキャンパーもいるので、川の水は汚さないようにしましょう。
川に流せる洗剤も万能ではない
川に流せる洗剤があるので、「これを使えば海や川で洗い物をしてもいいの?」という人もいるかもしれません。
結論を言うと、駄目です。
これらの洗剤は主に油汚れを分解して水に流せるようにしているのであって、全ての汚れには対応していません。
決まりが守れないなら別の方法を探す
キャンプには色々なマナーがあり、「こんな面倒な事やってられるか」と思う人もいるかもしれません。
「決まりが守れないならやらない」というのも選択肢の一つです。
何も「キャンプをするな」と言っているわけではありません。
例えば、筆者も炊事棟の後片付けは面倒な作業の一つです。
そこで、キャンプ場での調理器具の掃除はキッチンペーパーで拭く程度で済ませて、本格的な掃除は自宅でするようにしています。
他にもゴミの処理が面倒なら、過剰な梱包は捨ててからパッキングする、ラップでは無くタッパーを使うなど、キャンプを快適に過ごすために準備や試行錯誤をするのもキャンプの面白さです。
最後まで読んだだけで、あなたは常識のあるキャンパーです
知識補完の手助けになればと思い、キャンパー目線でのルール・マナー・暗黙の了解をまとめて説明してきました。
記事をまとめる中で気付いた事として、ほとんどの内容が周囲に気を配り、大人な行動さえ取れれば、細かな部分まで把握していなくても逸脱した行為はしないと思います。
そういう意味では「知っているはずだけど一応確認しておこう」という思いで、この記事を最後まで読んでくれている時点で、あなたは間違いのない行動を取れるキャンパーです。
「当たり前すぎて参考にならなかった」と思う内容も多かったかもしれませんが、「知らなかった」という事が1つでもあればこちらとしては大満足です。
大自然の中でキャンプをしていると、開放感や達成感から、つい気が大きくなってしまいがちです。
そんな時にも自制心を持ち、大人な行動を取ってくれるキャンパーが増えると良いなと心から願っています。